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4、その後の考え方の変化(31〜36)

その2

 

デザイナーの仕事を始めて3年目くらいに、ある会社で打ち合わせをした。

いくつかのブランドを持っている会社で、その中のある部隊と打ち合わせをしていたところ、チラッと友人の顔が見えた。

そう言えばこの会社に勤めてるって話は聞いていた。

 

打ち合わせ終わりに久々に挨拶し、食事の約束をして別れた。

別日にアポを入れ、下北で待ち合わせた。

寿司を食う事になった。

久々の再会に話は弾む。

彼は突然、

 

「うちのプレスやってみない?」

 

との打診が。

いきなりのオファーに困惑するも、

 

「大丈夫、できるから!」

 

と、半ば押し切られた形でそのブランドとプレス契約をした。

本当に役に立てるのかと考えたのだが、

 

「バックアップするから!」

 

との事だったので安心していたら、その2週間後に友人は退職してしまった。

 

プレスを仕事にしたのはこんな始まりからだった。

デザイナーとプレスを両立するってのはあまり聞いたことが無かったが、

 

「確かに自分は昔はそうだったな」

 

との考えと、

 

「どちらも在庫の無い商売」

 

なのが共通していたのでまあそれもアリかと思った。

 

あと、プレスの人で過去に企画とかデザイナーの経験者って聞いた事が無かったので、その視点を持ってるのも何かの役に立つかも知れない。

 

そして、渋谷にプレスルームを作って新たなスタートを切るのだった。